第二節 武士の政治の動き
○24 中世の都市と農村の変化

農業の発達

中世の農業では
さまざまな技術の改良があり、生産力が高まった。
米と麦の二毛作が始まり、牛馬耕が行われるようになった。
灌漑用に水車を利用し、刈草や牛のふんを肥料に使うくふうもなされた。

また副産物の栽培がさかんになり、
桑・こうぞ・うるし・えごま・藍など、手工業の原料となる作物がつくられた。
繊維では、麻の栽培に加えて、16世紀になると朝鮮から伝わった綿の栽培も始まった。

手工業・商業の発達

手工業では、地元の特色を生かした特産品がつくられるようになった。

京都の西陣織、美濃の和紙、
灘の酒、能登の輪島塗などが有名である。
また、すき・くわなどの農具や刀をつくる鍛冶職人、
なべ・かまなどの日用品をつくる鋳物職人もあらわれた。

農業や手工業の発達につれ、商業も活発になった。
交通の要地や寺社の門前などで、定期市が始まり、月6回開かれる六斎市が増えた。
取引には、中国から輸入した銅銭が使われた。

産業がさかんになると、
物資の輸送を管理する問丸、馬に荷物を載せて運ぶ馬借、
高利貸しを営む土倉や酒屋などが活躍するようになった。

朝廷や貴族・寺社に仕えていた職人や商人は、
とよばれる同業者の組合をつくり、営業税を納めるかわりに、生産や販売を独占する権利が認められた。

都市と農村の自治

産業や交通の発達にともない、各地に商人や職人が集まって住む都市が形づくられた。
日明貿易の拠点として栄えた港町の堺(大阪府)や博多(福岡県)では、
富をたくわえた有力な商人の合議によって町の政治が行われ、自治都市としての性格を備えた。
京都では、裕福な商工業者である町衆が、地域ごとに自治のしくみをつくっていた。

自治の動きは農村でもおこった。
農民の暮らしが向上すると、近畿地方やその周辺では、
名主や地侍などとよばれた有力な農民を指導者として、荘園のわくをこえた村のまとまりが生まれた。

農民は、村の神社や寺で寄合を開き、村のおきてなどを相談して決めた。
こうした農民の自治組織をという。

惣が発達すると、領主のむやみな介入をしめ出し、年貢の納入を請け負う地下請を行った。
また、いくつもの惣が目的を同じくして結束し、幕府に借金を帳消しにする徳政令の発布や、
武士の地元からの追放、関所を取り払うことなどを求め、武器を取って立ち上がることもあった。
これを土一揆(つちいっき・どいっき)という

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やってみよう
桑・こうぞ・うるし・えごま・藍がそれぞれに何に用いられる作物か調べてみよう。

あなたの住んでいる地域に、この時代に成立した特産品があれば、調べてレポートにまとめてみよう。