第3節 日本の復興と国際社会
読み物コラム
東京裁判について考える

○ 国際法から見た東京裁判 ○

東京裁判(極東国際軍事裁判)では、
戦犯として裁かれた戦争中の指導者たち全員に有罪が宣告され、東条英機首相以下7人が絞首刑になった。

この裁判では、被告は「平和に対する罪」をおかしたとされた。
これは、自衛戦争でない戦争を開始することを罪とするものだったが、
こうした罪で国家の指導者を罰することは、それまでの国際法の歴史にはなかった。

東京裁判でただ一人の国際法の専門家だったインドのバール判事は、
この裁判は国際法上の根拠を欠いているとして、被告全員の無罪を主張した。
しかし、GHQは、このバール判事の意見書の公表を禁じ、その他、いっさいの裁判への批判を許さなかった。

東京裁判については、国際法上の正当性を疑う見解や、
逆に世界平和に向けた国際法の新しい発展を示したとして肯定する意見があり、
今日でもその評価は定まっていない。



○ 戦争への罪悪感 ○

GHQは、占領直後から、新聞、雑誌、ラジオ、映画の
すべてにわたって、言論に対するきびしい検閲を行った。
また、日本の戦争がいかに不当なものであったかを、マスメディアを通じて宣伝した。

こうした宣伝は、東京裁判と並んで、
日本人の自国の戦争に対する罪悪感をつちかい、
戦後の日本人の歴史に対する味方に影響をあたえた。