第二節 江戸は幕府の政治
コラム
身分制度と百姓・町人

江戸時代には、「士農工商の4つの身分があった」といわることがある。
しかし、「工」(手工業者)と「商」(商人)のあいだには身分上の区別はなかった。

「士農工商」は
中国の古い書物にあるいい方にすぎず、
江戸時代に実際に行われていた身分制度は、
武士、百姓、町人の3つの身分を区別するものだった。

江戸時代の身分制度は、職業による身分の区分であり、
血統による身分ではなかったから、その区別はきびしいものではなかった。
百姓や町人から武士に取り立てられる者も、反対に武士から町人などになる者もいた。
武士の家でも、長男が家をつげば、次男・三男らは農家の養子になることもあった。

町人は、城下町に住んでいる、武士以外のさまざまな職業の人をさし、百姓は、村に住んでいる人をさした。

したがって、
城下町で営業する鍛冶屋は町人である一方、
「村の鍛冶屋」は手工業者でも百姓であり、漁業や林業に従事する人々も百姓であった。


だから、「百姓=農民」では必ずしもなかった。




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